ヘッドスピードでゴルフクラブを選ぶ
タイミングよくスイングしやすいゴルフクラブの重さは自分のヘッドスピードや飛距離を基準にして選定すると良いでしょう。
参考にできるのは、プロやシングルプレヤーといったゴルフ上級者の人たちのクラブの選び方です。
厳しい戦いを続けるプロゴルファーたちのクラブセッティングを調べてみると、ヘッドスピードごとに近い重量のゴルフクラブを選んでいることが分かると言われています。
こうした一流選手のクラブセッティングはアマチュアがクラブの重さを決める際の格好の目安になります。
ヘッドスピードと重量
たとえば、女子プロの平均ヘッドスピードは42~43m/S程度と言われていますが、これくらいでドライバーの飛距離は、平坦なホールで220~230ヤードほどになります。
これは、標準的な一般男性ゴルファーのヘッドスピードと飛距離にも一致します。
この程度の飛距離のプロゴルファーを見ると、飛距離と方向性のバランスを勘案して、45インチのドライバーで300~305グラム。5番アイアンで395グラム前後のモデルを使っていることが多いようです。
つまり、このスペックが一般男性のゴルファーとほぼ同じヘッドスピードでスイングする女子プロがツアーで戦うためのクラブということになります。
シャフト
たとえば、300~305グラムほどのドライバーだとシャフトは55グラム前後のカーボンシャフトを使用しています。
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395グラム前後の5番アイアンは90グラム前後の軽量スチールシャフト仕様を採用しています。
ヘッドスピードが42m/s前後であれば、この程度の重さを選択すれば適度に重さを感じることができるでしょう。
その上にゴルフスイングがしやすくなって再現性が向上して、ヒッティングポイントも安定した状態をキープできます。
そのため、道具であるクラブに起因するダフリやトップといったミスが減らせます。
ついでの話ですが、女子プロゴルファーともなると250ヤードほどドライバーの飛距離が出ると思われている方がいますが、これを鵜のみにするのは間違いです。
というのは、トーナメントが開催されるコースのセッティングではフェアウェイの芝の刈り高さが低くなっておりボールの転がりがよく、通常一般のアマチュアプレーヤーがプレーするコースよりも飛距離が伸びやすい条件になっています。
以上のように、クラブ選びの基準は「ヘッドスピード」だと言われているのがごく普通の話です。
しかし、これが第一の判断基準として正しいのかという点には疑問も残ります。
たとえば、ディープフェースでロフトが立ったドライバーを考えてみます。
この場合には、ヘッドスピードが48m/秒以上のハードヒッター向けのゴルフクラブだと判断されることが多いでしょう。
ですが、このゴルフクラブを何の苦も無く使いこなすシニアクラスのトッププレーヤーもいます。この方のヘッドスピードは、40m/秒そこそこしか出ていません。
逆に、ヘッドスピードは50m/秒を優に超えながら、このドライバーを使うとボールが上がりきらないばかりでなくスライスになるという若手シングルプレーヤーも存在します。
こうした状況が生まれる原因は、シャフトにあると考えるのは早計です。確かにシャフト交換で捕まりを補うことが可能かもしれません。
しかし、こうしたヘッドは、もともとのゴルフスイングに不釣り合いだったことになります。
このクラブヘッド自体が、パワーのないシニアに合っていて、ハードヒッターには不向きだたことに根本原因があります。こういう事例は少なからず見受けられるものです。
ここで気づくことは、ヘッドスピードやテクニックばかりではなく、ヘッド選びには別の要素があるということです。より根本的なゴルフスイングとクラブヘッドの相性があるのです。
それはゴルフスイング中のヘッド軌道ということになります。けれども、ここでいうヘッド軌道とはゴルフのレッスン書に書かれているようなスイングプレーンのイメージまでは求められていません。
クラブを振る場合に、完璧なインサイド→イン、もしくはストレート軌道というものは存在しません。
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その程度に違いはありますが、「アウト→イン系」かイン→アウト系」のどちらかになります。
「アウト→イン系」は、よくレッスン書で書かれている上から潰すというヘッド軌道です。
これはターゲットラインに対してという意味ではありません。あくまでも、アドレス時のスタンスの向きに対してのものです。
たとえば、スタンスはターゲットよりも心持ち右を向いているのに、ボールの打ち出し方向は目標方向ジャストだというタイプは、典型的な「アウト→イン系」ということです。
「イン→アウト系」は、インパクトエリアで「下から入る」と言われるゴルフスイングです。ドローボールをオープンスタンスで打つという場合も、このタイプに属します。
2種類のヘッド軌道のうち自分がどちらのタイプかは、ある程度経験を積んだゴルファーなら既にわかっていると思います。
自分で判断がつかなければ、プレー仲間や上級者にチェックしてもらえばはっきりします。一番わかりやすい目安のひとつは、トップとフィニッシュの高さを調べることです。
フィニッシュが高ければ「イン→アウト系」、トップ・オブ・スイングが高ければ「アウト→イン系」と考えてほぼ間違いありません。
自分のヘッド軌道がわかった時点で、次に確認するのは「ボールの打ち出し方向」です。
打ち出し方向の判断基準は、ヘッド軌道に対してその傾向が反映されているかどうかです。
つまり、スタンスのラインに対して「アウト→イン系」ならそれよりも左サイドに、「イン→アウト系」なら右サイドにボール出る状態が「素直」です。
オープンスタンスに構えて、打球がターゲットよりも少しだけに左へ飛んだとしても、スタンスの向きより右に出ていればそれでOKです。
ボールの高さを決める要素
ドライバーとアイアンで共通する話ですが、ボールの高さを決定する基本基本的なパラメーターはロフト角とヘッドスピードにあります。
ロフトは見た目で判断できるゴルフクラブの構造である上に、ボールがヒットして跳ね返る角度は、ロフト角の大きいゴルフクラブのほうが当然大きくなることは難しい話ではないと思います。
しかし、これにヘッドスピードという要素が加わるとと少しわかりづらい面もあるでしょう。これはヘッドスピードのおかげで、前に飛ばす力が高まり、さらにボールに与えるスピンの量が大きくなる点に由来します。
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つまり、ボールが上がるのは打ち出された角度だけ依存するものではありません。
ボールのスピンによるディンプル効果のせいで前へ進もうとする力の一部が、空気抵抗の力により上方向へのエネルギーに変わってくるためです。これを揚力といいます。
ここまでのことは、既に10年前からでも普遍的な基本的な要素といえるでしょう。
しかし、現在のドライバーは大型ヘッドになっているせいで、さらに要素が増えています。ダイナミックロフトがそれにあたります。
ゴルフクラブヘッドの重心の位置がフェースに対してより奥側に遠ざかっているため、小型のクラブヘッドとは違って、インパクト時のロフト角が表示ロフト角より大きくなる傾向にあることを理解しましょう。
その影響で、例えば12度のロフト角の200㏄のクラブヘッドを使っていた場合、260㏄のクラブヘッドに替えたのなら、11度とか10.5度といったロフト角でも十分ボールが上がるでしょう。
そして、アイアンクラブの場合にはグースネックのゴルフクラブが今は主流となっていますが、グースネックはボールを包み込むためにつかまりは優れていますが、ボールは上がりにくという考え方がありました。
しかし、これは間違いでしょう。グースがきついと、一般に重心角は大きくなり確かにボールのつかまりがいいでしょう。
その上、重心位置がフェースのより後方になるため重心深度が深くなる関係上インパクト時のロフトが増えてボールは上がりやすくなると言えます。
他には、シャフトで柔らかいものや先調子のシャフトが上がりやすいといわれていることがあります。
これはボールが上がりやすいのではなく、シャフトがよりしなりやすくなるととらえるべきでしょう。
そのため、ボールは上がりやすい反面、シャフトは横方向の他にも以外に縦方向にもしなるために、インパクトのポイントがずれたり、フェースの向きが変わってしまうことなどで、ミート率や方向性の面で犠牲が出るといえます。
何よりも、大型のクラブヘッドのドライバーには先調子のシャフトは適切ではないということだけは理解しておきましょう。
ヘッドスピードでゴルフクラブを選ぶ意味
ヘッドスピードでゴルフクラブを選ぶ意味を根本から見直してみる前には、ドライバーは飛距離至上主義で良いのかと言う基本的な問題に直面します。
ヘッドスピードが速いハードヒッターと呼ばれる全ての人がゴルフの上級者とは限りません。
この点を見誤ることなく最適なクラブヘッドのサイズと最適なシャフトのしなり具合との兼ね合いを検討すると良いでしょう。
ヘッドスピードの上がるシャフト素材
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ヘッドスピードの上がるシャフト素材として注目を浴びた時期があるものにボロンシャフトという存在が記憶にある方もいらっしゃるでしょう。
これは、カーボンシャフトの分類の中にボロンシャフトとして認識されていたもので、シャフトにBORONとプリントされているものを見たことがある人もいるでしょう。
これは、純粋にボロン繊維だけで製造されたものではなく、カーボン繊維と一定の割合で組み合わせることによって、ボロンの特性をシャフトにうまく生かしたものです。
このタイプのシャフトにはボロンがおよそ5~10%含まれていますが、ボロン繊維は、そもそもNASAが航空機やスペースシャトルなど、より軽量でより強度のある素材を必要とするところから開発された経緯があります。
ボロン繊維とはタングステンの細い繊維にホウ素(ボロン)を凝着させて作られたもので、強度はスチールの5倍と言われ、剛性も2倍あるとされています。
これを軽くて丈夫なカーボンコンポジットのシャフトの中に組みこむことにより、より強くて、さらに剛性のあるシャフトとなるわけです。
この剛性のおかげでしなりに対する復原力が上がり、ヘッドスピードがアップして「飛ぶシャフト」として一時脚光を浴びました。
しかし、細くて軽く、その上強度や弾性の面でもすぐれているカーボン繊維が開発されたため、近年ではそれほどボロンシャフトは注目されなくなってきています。
しかし、アイアンやウッドシャフトのネック部分の補強材として使用されることで今でもゴルフ用品に欠かせない存在です。
シャフト用の素材もヘッドスピードを上げるという目的のために日々開発競争が行われている実例とも言えるでしょう。
関連ページ
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関連用語
ゴルフクラブ,選び方,ヘッドスピード,女子プロ,シャフト,ヘッド軌道