ドライバーの長さと飛距離
ドライバーの長さと飛距離との関係を考えてみると長いほど遠くまで飛ぶというのが第一印象ではないでしょうか。しかし、ことはそれほど単純ではありません。
クラブヘッドの体積とも関係があるせいです。また、人間が行うゴルフスイングはさらに複雑さを生み出しているという点にも注意を払う必要があります。
400ccを超える大型ヘッドのゴルフクラブにおいては、ヘッドが大きくなっても単純にスウィートエリアが簡単に広くならないことは、説明しました。
それでは、クラブヘッドの大型の影響でスウィートスポットの位置に変化が起きたのでしょうか。
クラブヘッドが大きくなる影響で重心位置がシヤフト軸から離れて、その上ヘッドの厚みが増すのでソール面からの重心の高さも高くなると一般的に言えるでしょう。
また、ヘッドの横幅もサイズが増しているので、フェース面からの重心の深さも深い方向に向かいます。例えばゴルフクラブのネックを中心にして、時計でいえば1時から2時の方向に重心が遠く高くなるようなイメージを持つと良いでしょう。
ギア効果
ドライバーショットの場合、スウィートスポットの下側でボールをヒットするとフェース面のギア効果が生まれてバックスピンが必要以上に増えすぎて飛距離をロスします。
逆に、スウィートスポットのほんの少し上側でヒットできれば、インパクトの衝撃が影響して重心を中心にしてロフトが増える傾向になりヘッドがわずかに回転します。
これもギア効果のひとつであり、ロフトが増えることになるのですがバックスピンの量が減少する効果もあります。
スイートスポットを外しているショットなのでボール初速は少し落ちるのは仕方がないところですが、ボールの軌道はゆるやかな放物線を描くように飛ぶために風の影響も受けにくく、落下後のランも期待できます。
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つまり、スウィートスポットを上下どちらにはずした方が良いかと言えば、下に外すよりは上に外した方が飛距離を伸びするでしょう。
これで、風に負けない強い弾道となって有利だということになります。
大型のクラブヘッドではフェース高さが55~60ミリくらいあります。これを従来のヘッドと比較すれば5ミリくらいディープにできています。
それと共にスウィートスポットよりも上側の面積も増加しているので、ハーフトップは問題外ですがそれ以外はスピンを減らしやすい傾向があるでしょう。
ゴルフクラブを長くした場合
それでは、本題のゴルフクラブを長くした場合について説明しましょう。
試打器や人間でテストする場合、クラブが1インチ長くなるとヘッドスピードがおよそ1m/秒アップして、キャリーが約4~5ヤード増えるという結果が出ています。
しかし、これはあくまでもフェースのスイートスポットで打てた場合に限った話です。人間は機械と同じわけにはいきません。
ゴルフクラブを長くしても同じようにしっかりと振り切れないとヘッドスピードもアップしませんし、ナイスショットも生まれません。
ゴルフクラブが長くなる影響でミート率は低くなり、更に振り切れないゴルフスイングでは、せっかくのゴルフクラブの性能を完全に生かすことは難しくなります。
昔の250ccクラスの容量のドライバーの場合は44~45インチの長さが中心でした。
その後、クラブヘッドが300cc時代に突入すると46以上となり、47~48インチある長尺が栄えた時代を経て、現在は再び45インチに戻りました。
これは、一般のアマチュアゴルファーにとってミート率を確保しつつ気持ちよく振り切れるゴルフクラブの長さとしては、45インチくらいがちょうど良いという結論が出たのだとも言えるでしょう。
一方この流れに対して、ツアープロ達は45インチよりも短い44インチから44.5インチの長さを試してみた後、今では44.5インチ前後にしているゴルファーが目立ちます。
慣性モーメント
振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメント自体は、大昔のパーシモンやカーボンヘッドの時代から現在の長さに至るまで、45インチまではほとんど変化はありませんでした。
これが実現できた理由は素材の開発が進んだおかげです。パーシモンとスチールシャフトの組み合わせの43インチのドライバーも、チタンヘッドとカーボンシャフトを組み合わせの45インチのドライバーも、クラブ全体の慣性モーメントはほとんど同じです。
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チタンヘッド+カーボンシャフトの組み合せの方がクラブの総重量が軽くなるため、2インチ長さが増しても振りやすさには変化がないのです。
クラブの長さと総重量の関係は、不思議なことにある程度決まった流れで変化してきました。
スチールシャフトでは、43インチのドライバーの総重量は370g、カーボンシャフトでは44インチのドライバーで340g。そしてチタンヘッドの45インチで、総重量は310gと軽くなる傾向が見られます。
現代にいたるまでは、1インチ長さを増すごとに総重量を約30g軽くする対策をとって、同じように振れるよう工夫されてきました。
ゴルフクラブが長くなっても、クラブ全体の慣性モーメントの数値は変化しないようにしてきたわけです。
このため、あまり大きくゴルフスイングに修正を加えなくてもある程度上手く打てたというのが本当のところです。
しかし、その後発売された46インチのドライバーの場合、45インチより30gも軽くすることができませんでした。
長さと重さの関係が崩れ、全体の慣性モーメントが変化して振りにくさを感じるゴルフクラブになってしまったのです。
試しもしないうちに諦めるのはもったいない話です。もっと飛距離に貪欲になったほうがゴルフを楽しめる期間も長くなると思います。
長さと重さの比例関係から考えると、46インチのドライバーでは280gくらいが理想的でしたが、ほとんどのゴルフクラブは290~300gくらいありました。
このため長さに苦労するだけでなく、重さも悪い影響になり振りにくいゴルフクラブになっていたのです。
長くすると当たらないのか
飛距離アップをゴルフクラブの側から果たすためには、長尺化も1つの手段としてあるのですが、長尺はミート率の悪化を招くと考えるゴルファーは多いので、そこまで踏み切れない人も多いようです。
けれども、7番ウッドと3番アイアンの打ちやすさはどちらかと考えてみるとほとんどの人は長いほうの7番ウッドを選ぶでしょう。
ゴルフクラブのやさしさという概念は、その長さに応じたボールの捕まりやすさとも言えます。ヘッドの大さ、重心位置、ロフトといったいくつかのスペックが、その基準の長さに対してやさしい方が良いのです。
3番アイアンの長さのままで、やさしく捕まるヘッドを採用したゴルフクラブがUT(ユーティリティ)になったとも言えるでしょう。
ここでドライバーに目を向けてみましょう。パーシモンヘッドの時代は43インチが長さのオーソドックスなものでした。しかし現在では45インチが一般的になっています。
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アイアンに換算すると、4番手分も長くなっていることになります。
しかし、これでは打てないとか、捕まらないという人はほとんどいないでしょう。
ヘッドサイズが大型化して、重心設計が45インチに対して最適化された結果なのです。
今の時代はスイートエリアの広いデカヘッドが開発されたわけですから、飛距離を伸ばしたいゴルファーは長尺化も検討するべきです。
長尺化といっても、せいぜい46.5インチまででも構いません。この長さまでは現状のヘッド開発技術や、シャフトの性能の進化で、ミート率を維持したまま、ヘッドスピードをアップさせる可能性があるでしょう。
ただ、47インチを超えるとミート率が急激に落ちる例も、いくつかあることは確かです。これはゴルファー側の問題ではなく、シャフトの挙動に問題が出てくるようです。ルール上では48インチまではOKなので、これからの開発が進むことは十分に予想されます。
これからの長いゴルフクラブ
これから長いゴルフクラブで総重量を軽くすることを実現するには、まずシャフト重量を40g台まで軽くすることがどうしても必要です。
そこで、それに対応できる超軽量のシャフトが、徐々に増えて来る気配があります。
遠くないうちに50~60g台のシャフトのようにバリエーションが豊富でクオリティーも高い40g台のシャフトが当たり前になるでしょう。
そして、46インチの長さがあってアベレージゴルファーでもアスリートゴルファーでも喜んで使えるゴルフクラブが出てくるでしょう。
ヘッド体積が450~460ccのものが目立つ時代には、上手くシャフトをセッティングする技術があれば十分に期待できる話でしょう。
とはいっても、ゴルフクラブを長くしてもしっかりと振り切れるようにするにはヘッド重量も減少させる必要が出てきますから、ヘッドの持つエネルギーが低下して、ボール初速も下がってしまう点は予想される問題です。
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