クラブ重量と長さの適正化
ゴルフクラブはバットやラケットと同じく振って使うスポーツ用具ですから、まず最重要項目は長さと重さの関係です。
ここで問題になるのは個別のゴルフクラブのことだけではなく、14本のクラブの構成(クラブセッティング)も含まれたものです。
ドライバーは飛距離を出したいゴルフクラブなので長く、ウェッジはコントロールショットでカップにできるだけ近づくようにしたいゴルフクラブなので短い作りになっています。
これまで多くの人達が様々なアイデアを持ち出して、この当たり前のように浸透しているゴルフクラブの長さの関係に変化を加えようとしましたが、最終的には必ずこの昔からの長さの体系に戻ってしまいます。
重量の観点から見れば、基準になるのはやはりドライバーということになります。ドライバーの重さから他のゴルフクラブに対して、順次に重さを決定していくというのが基本と言えるでしょう。
実際上クラブを購入するときやリシャフトなどをしてチューニングする場合、単品でゴルフクラブを購入したり調整することが多く、パターを除く13本を全体的に俯瞰して考えることは少ないでしょう。
そのため、つい他の番手との関連性、とりわけ重量の最適化を見落としがちになる傾向があるようです。
たとえば、ドライバーは問題なく使いこなせるのにアイアンが全然ボールに当たらないとか、アイアンは上手く打てるのにフェアウェイウッドではうまくいてないことが多い場合があります。
ドライバーの重さで重要なポイントの中には、フェアウェイウッドやアイアンとの関係を重視する人もいるでしょう。
ゴルフクラブは短くなればなるほど、クラブは重くなっていくのが理想的な重量フローと言えます。皆に共通することとしてドライバーが振れていても、アイアンではトップやダフりが出るという経験が挙げられます。
これは、クラブの重量フローに原因がある可能性が高いケースです。ドライバーの重さを基準に考えて、ほかのゴルフクラブの重量を決めていけば、こうしたミスショットは激減するでしょう。
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重量の他に大切なポイントになるのがシャフトです。
スムーズに振り抜ける格好のドライバーがわかっても、実際のコースで思ったような球筋が得られないというケースがあります。
この場合、シャフトとのミスマッチが考えられます。
ハードヒッターの場合は、キックポイントが手元調子もしくは中調子でトルクの少ないタイプが良いでしょう。
スインガーの場合には、先調子でヘッド先端がしなるトルクのあるものを選択すべきです。
中古品を取り扱っているお店で気に入ったドライバーで重量バランスがいいものを購入しでてもシャフトが合わない場合、リシャフトする方法があります。
ショップによっては、多くのシャフトメーカーのバラエティーに富んだタイプのシャフトを揃えているところもあります。
この場合、スタッフに相談してみるのも一つの方法でしょう。リシャフトで、自分だけの特注品のドライバーとなり、きっとゴルフスイングが見違えるほど変わるでしょう。
クラブ重量がきちんとセッティングされていない
こうした現象は、原因はゴルフスイングにあると思われがちですが、実際にはクラブ重量がきちんとセッティングされていないから起きるためのミスであるケースも少なくありません。
こうしたゴルフクラブの重量最適化については、ツアープロや上級者が取り入れている方法を大いに参考にすべきでしょう。
アベレージゴルファーよりもずっとゴルフスイングを極めている彼等を真似しない手はありません。
しかし、こうした上級者達が上手くスイングするためのゴルフクラブの重量最適化は、意外に市販されているモデルに取り入れられていない状況があるのが実際のところです。
たとえばアマチュア公式戦などの常連組であるシングルプレーヤーの場合、ドライバーの重量は320gくらいが普通で、5番アイアンはドライバーよりおよそ95グラム重い415g程度になっている人が少なくありません。
この95グラムの差の中にはシャフトの重量差が約40グラム程度含まれていると想像して良いでしょう。
もちろんプロに近いパワーヒッターを見てみると、ドライバーは325gくらいで、5番アイアンは425g程度のものを使っているケースもあり、この場合の重量差は100gくらいになります。
男子のツアープロクラスでは、ある程度の幅はあるもののドライバーは330グラム前後が多く、5番アイアンが435gくらいでその重量差は約105グラムといったところでしょう。
この105グラムにはシャフトの重量差がおよそ45~50グラム含まれています。
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こうした数字を見てみると、パワーヒッターに近いゴルファーほどドライバーと5番アイアンとの重量差が少しですが広がる傾向にあることがわかります。
この数字を平均的な男性のアマチュアゴルファーに当てはめてみると、ドライバーと5番アイアンの重量差が80~90グラム程度ならば妥当な数字であると考えられます。
さて、ご自分のゴルフクラブはどうなっているかとチェックしてみると、場合によってはドライバーと5番アイアンとの重量差が70グラム程度になっている人も見つかるでしょう。
ゴルフクラブの重さと長さの関係については、クラブの振りやすさを示すクラブ全体の慣性モーメントの値に目を向ける必要があります。
これは、ゴルフクラブが短くなると小さくなるものです。
そのため、ドライバーを基準に他のゴルフクラブの振りやすさを揃えるためには、クラブが短くなるほど総重量を重くする必要が生じます。
目安としては0.5インチシャフトが短くなるごとに、総重量を5~6g増やさなくては振りやすさがそろいません。
アイアンの方がヘッドが重いのですが、それでもシャフト重量の部分には20g程度の差は必要でしょう。
ドライバーに比較してアイアンが軽すぎる場合、そうでなくても長さが短いアイアンは振りやすいゴルフクラブなのですが、軽量化の影響でさらに振りやすくなってしまい、必ず手だけでバックスイングをする癖がつくようになります。
身体のターンを使わず手だけで振るゴルフスイングを長く続けているとゴルフスイングのリズムもいつの間にか速くなり、ミスショットを招きやすくなります。
さらに、身体をひねっていないバックスイングになると体の持つエネルギーを使うことなく、時間がたては飛ばない状況になるでしょう。
軽いゴルフクラブでは良いゴルフスイングはできないし、身体をしっかりとターンさせるゴルフスイングにならないので飛距離も伸びなくなるという意見は少なくありません。
この場合の軽いゴルフクラブというのはアイアンだけに限ったことではなく、ドライバー自体も軽すぎる場合も少なくないと思われますので気を付けていきましう。
国内で大活躍の女子プロの中にも、以前はカーボンシャフトのアイアンを使っていたのですが、米国ツアーに参戦するということで軽量スチールに変更してアイアンの重量アップをした人もいます。
これもクラブセット内の重量の最適化を施した一例で、少し時間がたては必ずアイアンでのゴルフスイングが安定し、その上飛距離が揃ってきてピンに絡んでくるシーンが増えるでしょう。
ちなみにこの場合のドライバーは310g、5番アイアンが402gですので、その差は92グラムあり、まさにジャストセレクトだと言えるでしょう。
また、このクラブセッテイングでの重量の最適化で意外と忘れてしまうのがドライバーとフェアウェイウッドとの組み合せです。
フェアウェイウッドはドライバーと比較して2インチ以上短いわけですから、ドライバーよりもクラブ総重量が重くなくては絶対にいけません。
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できればフェアウェイウッドのシャフトをドライバーより5~10gは重くして調整する必要があるでしょうし、これがユーティリティクラブなら、ドライバーとアイアンとのちょうど中間くらいの重さのシャフトを使うべきでしょう。
ただし、ヘッドスピードが遅くなったシニアの男性やパワー不足に悩む女性の場合は、カーボンシャフトの軽いアイアンを基準にするのも悪くはないでしょう。
この場合ですが、ドライバーとのマッチングを良くすることを考えると、ドライバーをさらに軽量化するか、長さを少し短くすることで振りやすさを増していく工夫が必要です。
シャフトの種類
シャフトの種類分けをする場合、テーパーティップ、パラレルティップという分類の仕方があります。
シャフト先端部分(つまりクラブヘッド側)の形状を表したもので、テーパーティップは先端にいくほど細くなるタイプです。
一方で、パラレルティップはシャフトメーカーによっても違いがあるものの、先端部分の20センチ前後が同じ太さのものとされています。
昔はテーパーティップオンリーの時代もありましたが、現在ではメタルウッドの登場で新しくパラレルティップのタイプが出てきたという経緯があります。
このメリットとしては先端部分をカットすることでシャフトを硬くすることも可能ですし、微妙にフレックスポイントを調整させることができるなどチューニングの面で優れています。
さらに、先端をカットすることによって同一シャフトで全部の番手をそろえることが可能になります。
重量も番手ごとにかわってくるので、ロングは先調子、ショートは少し手元調子とわずかずつ変化してくるものです。つまり、フロー設計に向いているタイプのシャフトなのです。
一方で、テーパーティップは一本一本同じ重量で、番手ごとに長さを決めてシャフトが製造されます。
さらにカットしてしまえば太さが違うせいで、パラレルのように先端をカットすることが難しいという点は問題になるでしょう。
アイアンのクラブセットでは、シャフト重量が同じなのでセットとして均一したものを作るときに向いているとも言えますし、どちらかと言えば上級者向きのシャフトと言えるでしょう。
メタルウッド用のカーボンシャフトはどれもパラレルティップで、シャフト調整をティップカットすることができて、微妙な硬さの違いを調整できるようになっています。
シャフト設計としてもカッティングによるフレックスの変化をうまく利用できるようにしていると言えるでしょう。
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シャフト交換が必要な場合は、パラレルティップのカットで自分に合うフレックスを出してみることは非常に効果的な調製法のひとつと言えます。
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関連用語
ゴルフクラブ,選び方,種類,クラブセット,ヘッド,シャフト