パターの形状とゴルフクラブ
ゴルファーの皆さんならよくご存じだとは思いますが、パターにはさまざまな形状があります。
十数年ほど前までは、圧倒的に多いパターの種類といえばピンタイプでした。当時人気のあったマレットタイプといえばオデッセイのロッシー2などの限られたモデルだけでした。
当時はヘッドの慣性モーメントはピンタイプのパターの方が明らかに大きく、小振りなマレットタイプより扱いやすかったのがその理由です。
けれども、2002年にオデッセイホワイトホット2ボールパターがキャロウェイから発売された時点で状況は一変しました。
従来のマレットタイプはヘッドサイズがそれほど大きくありませんでした。ロッシー2を例にとると重心深度は19.9ミリ、ヘッドの慣性モーメントは3100g平方センチでした。
しかし、2ボールパタータイプになると、重心深度が31.7ミリと5割増し以上の数値になり、ヘッドの慣性モーメントも3500g平方センチと1割以上大きくなりました。
始めはその形状に誰もが違和感を覚えたかもしれませんが、大ヒット商品になるとは製造元のキャロウェイですら予想できなかったのではないでしょうか。
それ以降は2ボールパターに対抗するかのように色々なアイディアを秘めた大きなマレットタイプのパターが数多く登場しました。
特に目立ったパターとしては、タイトリストからはフューチュラ、マグレガーからはV-FOILといったモデルが発売されています。これらは、重心深度と慣性モーメントを強く考慮した製品と言えるでしょう。
どちらともクラブヘッドはとてもに大きな形状をしており、フューチュラの重心深度は48.6ミリ、慣性モーメントは6449g平方センチあります。
V-FOILのM6・4Kのタイプでは、重心深度が42.3ミリで、ヘッドの慣性モーメントは6377g平方センチです。
ちらとも重心深度が深く、ヘッドの慣性モーメントが非常に大きな数値になっていることがおわかりでしょう。
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よく見られる標準なピンタイプのパターのヘッド慣性モーメントは4000g平方センチ程度ですから、大型マレットの場合は約5割増のスウィートエリアを持っていると理解してよいでしょう。
更に、一般的なピンタイプのパターの重心深度は8~9ミリ程度ですから、重心深度の深いマレット型タイプのパターの方がストロークも安定させやすいと言えるでしょう。
ゴルフ初心者でパターでもミスヒットが多い方でも、大型マレットを上手くコントロールすることができれば距離感や方向性の面でもかなり有利になるでしょう。
また、マレットタイプのパターの特徴としては、フェースのセンター付近に真直ぐにシャフトが入っているセンターシャフトの設計が多いです。
あるいは曲がったシャフトを使ってヘッドのヒール側にシャフトを装着しているタイプも少なくないのです。
これらは一般的にフェースバランスという言葉で言い表されているもので、シャフトの延長線上にヘッドの重心が位置しておるため、指先でパターを支えた場合にフェース面が上を向くことになります。
フェースバランスのパターに関しては、別な機会に解説してみましょう。
アンサータイプと呼ばれているヘッド形状ではトウ側とヒール側に重量を配置して、販売当初はミスヒットしてもヘッドがブレにくい、クラブヘッドの慣性モーメントを大きくする設計がなされているパターといわれました。
しかし、実際のところはL字型のグルフクラブと比較して明確にヘッドの慣性モーメントが大きくなったわけでもありません。
アンサータイプもL字型ほど極端ではありませんが、シャフトの位置が幾分ヒール寄りになっているため、フェースを多少開閉するようなストロークで打つゴルファーに適したタイプだと言えるでしょう。
また、重心深度の深いマレット型と比較して、どちらかといえばタップ式と言われるインパクトでボールをパチンとヒットするタイプのストロークをしたいゴルファーには適しています。
アンサータイプとL字型
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こうしたタイプは、クラブの性能という観点からみるとクラブヘッドの重心深度が浅いため、比較的振り幅を小さくしたショートストロークで打感の強弱を出したいゴルファーが使いやすいタイプのパターといっても構わないでしょう。。
マレットやネオマレット
それに比較して、マレットやネオマレットと呼ばれるタイプのヘッドはヘッドの横幅が広いために重心深度が深いのが特徴です。ヘッドの重心が深くなるとフォロースルーを出しやすくなるという特性を持ちます。
そのため、タップ式でヒットしてタッチで距離感を出すタイプのパターというよりは、肩でストローークしてヘッドを直線的なイメージで振りたい人や振り幅の大きさで距離感をつくりたい人と相性が良いと言えるでしょう。
特に、シャフトの軸のラインがクラブヘッドの真ん中に向けられて装着されたフェースバランスは、ストレートに引いてストレートに打つような意識でストロークしたいゴルファーには向いている構造だと言えます。
昔から人気のあるプロゴルファーが使用するパターの人気は高いのですが、そのタイプが絶対に自分に合ったパターだとは限りません。
重要なのは自分の構えにあったタイプ、自分がストロークしやすいタイプかどうかです。
タッチで距離感を出すのか、ストロークの大きさで距離感を出すのか、どのようなパッティングスタイルなのかを判断基準にしてパター選びは大きく違ってくるのです。
ヘビーウエートパター
中古ショップに行けば、ネオマレットにピンタイプ、L字型と様々な形状のモデルが選り取り見取りです。
その中で、十年ほど前から目立ってきたのが長さは34インチ前後の通常でありながら重量が520グラムを超えるヘビーウエートタイプです。
ピンの『G5iアンサー』やオデッセイの『ホワイトスチールトライボールSRT』などが代表的なモデルでした。
G5iはピンタイプ、トライボールSRTはネオマレットと言った具合に、ヘッド形状に関わらず重いのが特徴で、売れ筋のパターを見るとこうした重めのモデルが増えていた時期もあります。
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従来のパターは500グラム前後のものが多かったことと比較すれば、重さを感じやすくてストロークが安定しやすいというメリットがあります。
ヘッドがふらついてストロークが不安定なゴルファーには向いているタイプと言えるでしょう。
また、重いパターの場合はゆったりとしたストロークがしやすく、これまで軽いパターを使っていて打ちすぎたりショートしたりと、距離感が不安定だった人に向いているとも言えるでしょう。
中古ショップのパターコーナーに足を向けたら、ヘッド形状ばかりに目を向けるのではなく重さにも気を配ってみた方が良いのです。
モデルによって感じる重さは当然違ってきますし、重さによってストロークがしやすいものとしにくいものがあることに気づくでしょう。
重さも形状もストロークに影響
今まで以上にストロークに影響を与えるパターが増え出したのが十数年前といったところでしょうか。
オデッセイの『ホワイトホット2ボール』の爆発的なヒットを機に様々なデザインのパターが出現した時代でした。
ネオマレットと呼ばれるタイプにはデザイン性にオリジナリティーが高いモデルが多いのですが、その中でもよりストロークに影響を及ぼしそうなデザインのパターが少しずつ増えてきた時期でした。
代表格は、スコッティーキャメロンの『DET。UR』でしょうか。フランジ部分が湾曲した形状が特徴で、自然とインサイドインにストロークできるようになる工夫がされた設計ということもあり、人気もありました。
ほかにも、オデッセイの『ホワイトホット2ボール』の進化系とみなされる『ホワイトスチールトライボールSRT』があります。
このモデルは、フランジ部分にある丸いプレートが3つあって、よりストレートなストロークを促すようなデザインのパター形状です。
どちらも、確実に使う人のストロークに影響を及ぼす形状であることが共通していました。
自分のストロークイメージに合ったものを見つけることが出来れば、より安定したパッティングができる可能性を秘めているタイプと言えるでしょう。
パターもプロダクトデザインに優れたものが売れる時代がその当時に確立されたと言えるでしょう。
自分に合うパターはライ角を調整から
これはアイアンクラブにも当てはまることですが、パターのライ角はパッティングに大きな影響を与える要素です。
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それは、スイートスポットの位置とライ角とが非常に密接な関係性を持っているためだからです。
フェースバランスをとっているパターの場合、シャフトの装着される角度の延長線上にスイートスポットが位置します。
トウ・ヒールバランスのデザインでヘッドのトップブレード中心にスイートスポットを決めるためには、シャフトの装着角度が大きな問題となり得ます。
シャフト軸線がソールに当たったところがフェース中心にあることが必要条件となってきます。
しかし、クラブヘッドが大きくなるとどうしてもライ角はフラット気味になりやすいですし、クラブヘッドが小さくなるとアップライト傾向が強くなります。
大きなクラブヘッドでフラットすぎると感じた場合、アップライトに調整したいと思うことがあるかもしれませんが、ここで注意することはスイートスポットがセンターよりもヒール寄りになるという点です。
これをしっかりと理解したうえでライ角を調整すれば、パタークラブは今よりもずっと使いやすくなる可能性があります。
L字形パターの場合はブレードも長いので、ヒール寄りでヒットしたいと感じているゴルファーアップライトにしてみるのはどうでしょうか、
逆に、センターより先端側でヒットしたいと感じているゴルファーはフラット気味に調整すればいいでしょう。
どちらにせよ、フェースバランスは崩れる可能性はあるものの、試してみる価値は十分にある調整法の一つと言えるでしょう。
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ゴルフクラブ,選び方,パター,アンサータイプ,L字型,マレット,ネオマレット